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新規医療技術のアクセスと提供に関する パートナーシップ: 結核、マラリア、顧みられない熱帯病に対する 医療技術を人々に届けるために

インパクト ストーリー

02 各国の健康と人間の安全保障の
実現を支援

「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」は、結核やマラリア、NTDs が人間開発に影響を及ぼすことを認め、その認識に立ちながら、開発優先課題として、2030 年までにこれら疾病の蔓延に終止符を打つことを求めています。こうした「貧困の病」への対策は、ここ数十年間で進展を見たものの、その予防、診断および治療に対する将来性の高い新規技術の提供については、課題が立ちはだかったままです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は、こうした課題をさらに深刻化させました。『持続可能な開発目標(SDGs)報告書2022』は、これらの疾病に対する数十年にわたるグローバルヘルスの進歩が脅かされているという現実を指摘しています。実際に、医療システムと必須の医療サービスが深刻な混乱に陥った結果、予防接種率は10 年ぶりに低下し、結核やマラリアによる死者は増大しています1

結核、マラリア、NTDs — 貧困の病

結核とマラリア、NTDs は貧困と不平等の病として根強く残っています。これらの病は最も貧しく、最も脆弱な人々やコミュニティに不当に広く蔓延しています。適切な住宅や衛生設備、安全な飲み水と栄養価の高い食料、医療サービスへのアクセスの欠如など、貧困に関連する状況は、リスクを増大させ、感染の可能性を高めます。

毎年およそ1,000 万人が結核に罹患し、150 万人が死亡する一方で2、マラリアは60 万人以上の命を奪っており、中でも5 歳未満児が特に罹患しやすくなっています3。2020 年には、COVID-19 がもたらした混乱により、結核とマラリアの診断数が59% と31%、それぞれ減少し、結核治療を受ける患者も100 万人減る一方で、マラリア関連の死者数は4 万5,000 人増えました4

NTDs は、多種多様な熱帯感染症を総称する言葉ですが、これによって全世界で17 億人の生活が依然として影響を受けており、年間の死者はおよそ20 万人、障害調整生命年(DALYs)の損失は延べ1,900 万年に上ります5。NTDs を予防、診断、治療するための安全かつ効果的なツールが引き続き緊急に必要とされています。教育水準が最も低い最貧層世帯は、NTDs 感染者を抱える可能性が2 倍高くなっていることから、すでに大きな人的、社会的、経済的、財政的負担を永続化させることになります。サハラ以南アフリカは特に深刻な影響を受けており、NTDs 感染のリスクがある人々は5 億人を超えています。この地域では2019 年に3 億6,000 万件を超えるNTDs の症例が報告され、DALYs の損失は延べ500 万年に達しています6

結核やマラリア、NTDs に対処するためには、すべての人々の健康と福祉をより幅広く支援し、清潔な水や衛生設備など、基本的なニーズの充足を確保できる公平な保健インフラが必要です。同時に、この保健インフラでは、病気の媒介生物対策や、診断と治療へのアクセス確保など、予防と対策のための措置を採用しなければなりません。結核やマラリア、NTDs に係る医療サービスへのアクセスの拡大と強化は、UHC の実現に向けた進展を測る指標とみなすことができます。

この状況に対応するため、UNDP と日本政府は2013 年、2 つの相互に関連づけられた革新的プロジェクトを通じ、結核、マラリアおよびNTDs に対処する戦略的パートナーシップを立ち上げました。公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は結核、マラリア、NTDs その他の病気に係る新規医療技術を開発するためのイノベーションと研究を促進する一方で、ADP は低・中所得国で、利用可能になった新規医療技術へのアクセスと、その提供の能力を確立、強化することを主眼とする活動を展開しています。

GHIT Fund は、研究開発(R&D)への取り組みに関わっている日本の各組織と世界の関係機関を結び付けるパートナーシップの支援を通じ、顧みられない病気に対処する医薬品、診断薬・機器、およびワクチンの発見と開発に投資しています。ADP はUNDP、WHO、TDR、PATH という4 つのコアパートナーを結集した独自の協業により、各国の政府やその他のステークホルダーが医療システムの強化を図るための支援をしています。ADP のコアパートナーは、政策と法律の策定から、人的・制度的能力の構築、さらには医療技術へのアクセスとその提供を確保できるシステムとプロセスに至るまで、低・中所得国が「点と点をつなぐ」ための支援を行っています。

GHIT Fund とADP の連携により、医療技術の研究開発と製品開発の促進と、各国におけるその迅速なアクセスと提供の確保に重点を置いた能力とシステムの開発を組み合わせた、革新的かつ相乗的なアプローチが可能になります。この統合的なアプローチはUHC の達成、ひいては人間の安全保障の実現に欠かせません。また、ともに結核、マラリアおよびNTDs の流行に取り組むための幅広い体系的なアプローチを推進する「持続可能な開発のための2030 アジェンダ」および「持続可能な開発目標(SDGs)」とも戦略的に整合しています。

国ごとの状況は異なるものの、様々な医療システムに共通する課題があることも分かっています。ADP は低・中所得国に根強く残る能力のギャップを明らかにしたうえで、複数の機関やメカニズムが協力して、必要とする人々のために医療技術を効果的に導入し、アクセスを確保、拡大できるよう、こうした能力を強化することに注力しています。

「GHIT とADP の連携と活動は、研究開発と保健システムの両方に投資することにより、医療ケアへの公平なアクセスをより迅速に推進し、COVID-19 のパンデミックを終息させ、将来の医療危機に備えられることを示しています」
— 武見敬三参議院議員とアヒム・シュタイナーUNDP総裁7

ADP は、政策や法律の枠組み整備や実装研究、規制当局の承認、調達、サプライチェーン管理から、最終的にはサービスの提供や患者の安全監視に至るまで、アクセスと提供のバリューチェーン全体の強化を目指す政府全体のアプローチを促進しています。このように、広範囲の部門と専門領域を横断し、各国のステークホルダーと連携するADP の施策は、各国が新規医療技術の導入と普及に備えるとともに、これを加速することにも役立っています。

COVID-19 のパンデミックが次々と医療と開発の危機を引き起こしたことは、強靭で回復力のある医療システムの構築に対するADP の支援の重要性をさらに顕著にしました。ADP のアプローチはすでに、多くの国のCOVID-19 対策の基盤強化に役立ったほか、コロナ禍による医療システムへの緊急需要に適応できる政策やツールの開発を支援しています。こうした取り組みは、将来的なパンデミックへの備えにも大いに貢献しています。

GHIT Fund とADP の双方に対する日本政府の支援は、人々の健康と人間の安全保障に関する日本政府の戦略的ビジョンと先見性、そして持続可能な人間開発においての強力かつ強靭な医療システムの必要性を示しています。

参考資料